社会保険への加入義務とは。加入義務のある会社と従業員の条件

就職の際に加入することになる社会保険。この社会保険は、正社員でなくても労働時間などの条件を満たしていれば加入義務があります。
社会保険の仕組みや加入の対象となる条件、国民健康保険からの切り替えの手続きなどを正しく理解しましょう。

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社会保険とは何か

健康保険組合に加入

会社に勤務している人が入る社会保険。この社会保険に入ると健康保険証がもらえます。社会保険には「協会けんぽ」と「組合健保」の二種類あり、いろいろな違いがあります。

全国健康保険協会という団体が運営しているのが「協会けんぽ」になります。中小企業が加入していることが多いのがこちらです。

一方で、大企業に多いのが「組合健保」です。常時700人以上の従業員が働いている企業が、自分たちで設立した組合になります。
健保組合は、グループ会社と子会社など複数の会社が共同で設立することができますが、その場合には合計で常時3,000人以上が必要になります。組合健保では、3〜13%の範囲で保険料率を組合ごとに設定することができるというメリットがあります。

また、付加給付がつけられるというのも、組合健保のもう一つのメリットです。付加給付とは、「1ヵ月にかかった医療費の自己負担限度額を決めておき、限度額を超過した費用を払い戻す制度」のことです。
これにより、病気で手術を受けるなど医療費が多くかかる場合でも自己負担額は増えずに済みます。

厚生年金に加入

日本の年金制度は二重構造になっています。一層目にあたるのが国民年金、基礎年金と呼ばれるもので、全ての国民が加入しているものです。一方、二層目にあたるのが厚生年金です。これは社会保険の中に含まれているもので、報酬や加入期間によって金額に差があります。

厚生年金に加入すると以下のようなメリットがあります。

◼ 1.扶養制度があるため、世帯において保険料額を抑えることができる

国民健康保険の保険料は全額自己負担ですが、社会保険には扶養制度があるため家族の保険料額がかかりません。例えば夫が会社の社会保険に加入していれば、その扶養に入っている妻や子供は何人分だろうと保険料は変わらないのです。

◼ 2.老年齢金額が上乗せされる

老齢厚生年金は、国民年金の基礎年金に上乗せされるため、国民年金のみに加入しているよりも給付額が増えます。

◼ 3.障害年金の特級数が多い

国民年金では、障害基礎年金の対象が障害等級1、2級だけですが、障害厚生年金では3級の場合でも一時金が支給されます。

◼ 4.遺族年金の支給対象が広く、手厚い保障制度が設けられている

国民年金における遺族基礎年金では、要件を満たす配偶者もしくは子のみに支給されます。しかし、遺族厚生年金であれば、要件を満たす配偶者、子、父母、孫、祖父母が受け取ることができるのです。

パートによる社会保険に加入する対象者

週の労働時間が20時間以上

パートやアルバイトでも、社会保険に加入できる人もいます。それは、週の労働時間が20時間以上の場合です。これまでは週30時間以上労働が条件でしたが、平成28年(2016年)10月1日から週20時間以上働いていれば、社会保険に加入できるようになりました。

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月の賃金が8.8万円以上

週の労働時間に加え、1ヵ月あたりの賃金が8.8万円であれば社会保険に入ることができます。
この賃金にはボーナスや残業代、交通費は含まれず、あらかじめ決まっている賃金のことです。他にも、学生でないこと、従業員が501人以上の会社であることなどが対象になっています。
これらの条件を満たしていれば、パートでも社会保険への加入義務が発生するのです。

社会保険の加入義務の対象者

法人の代表者

会社の代表者である社長は、たとえ1人で設立した会社でも社会保険に加入しなくてはなりません。現在は、法人の場合は代表者1人の会社でも社会保険の対象者となっています。
社会保険強制適用事業所というものがあり、これに該当している会社であれば社会保険への加入義務が発生します。

以下のいずれかに該当する事業所が、強制適用事業所になります。

◼ 適用される業種で従業員が常時5人以上の個人事業主
◼ 業種、従業員数に関係なく法人

そのため、法人の代表者は従業員数に関係なく社会保険に加入する義務があるのです。

役員

一般的な従業員の場合は勤務時間や日数で判断されますが、法人の役員の場合は従業員とは違った判断基準があります。日本年金機構は、以下の判断基準を使って役員が社会保険に加入しなければならないか判断しているといわれています。

◼ 1.報酬を支払っているが常勤ではない
◼ 2.報酬が極度に低い
◼ 3.経営に携わっていない
◼ 4.法人に定期的に関わっていない
◼ 5.他の業務を兼務しているか

◼ 6.役員会に出席しているか
◼ 7.従業員に対して指示をしたり、連絡をしたりするか
◼ 8.経営に対して意見を述べる機会があるか
◼ 9.報酬が実費弁償程度ではないか

このように役員の場合は、報酬や勤務日数だけではなく、様々な判断基準が設けられているのです。

正社員

勤務先が社会保険の適用事業所であり、事業所に常時勤務している場合、正社員には社会保険に加入する義務があります。正社員は常時勤務にあたるので、勤務先が法人など社会保険に適用する事業所であれば、一般的には社会保険に加入することになります。

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試用期間中の従業員

試用期間中の従業員でも、勤務時間などの条件を満たしていれば社会保険に加入することができます。
試用期間とは、その期間が終わっても雇用を続ける前提で勤務態度や仕事の能力などを見て本採用するかどうかを決定するための期間です。

企業によって期間は異なり、目安は1〜6ヵ月程度になります。試用期間と本採用後の違いは、試用期間中の方が解雇の自由が認められているという点です。
試用期間開始から14日以内であれば、解雇予告なしで解雇できるようになっています。
この点だけが試用期間と本採用の違いなので、試用期間中であっても社会保険に加入する義務があるのです。

アルバイトやパート

アルバイトやパート勤務であっても、労働時間や給与によっては社会保険に加入する義務があります。平成28年(2016年)10月に社会保険の加入要件が変わったことにより、アルバイトやパートでも社会保険に入るための条件を満たす人が増えました。以下が、新しくなった社会保険加入要件です。

◼ 1.週所定労働時間が20時間以上
◼ 2.年収が106万円以上
◼ 3.月収が88,000円以上
◼ 4.雇用期間が1年以上
◼ 5.企業規模が従業員501名以上(平成31年9月30日までの時限措置)

社会保険への加入手続きは、加入義務が発生してから5日以内に行ってください。勤務先の事業所の所在地を管轄する年金事務所に、「健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届」「健康保険被扶養者(異動)届」を提出します。提出方法は、電子申請か郵送もしくは窓口持参から選べます。

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外国人の従業員

外国人の従業員も、会社は健康保険や厚生年金保険などの社会保険に加入させる義務があります。外国人であっても、社会保険か国民健康保険に加入しなければなりません。
仕事をしているのであれば、当該事業所で健康保険及び厚生年金保険等に加入する必要があります。
加入するための労働時間などの基準は日本人と変わらず、パートやアルバイトであっても週の勤務時間が20時間を超えるなどの条件を満たしていれば社会保険に加入できます。
個人事業主や役員の場合も、業種や従業員数など社会保険の適用事業所であれば、社会保険への加入義務があります。

また、週の所定労働時間が短いなど社会保険の加入条件を満たしていない場合は、国民健康保険に加入する必要があります。
ただし、原則1年以上の在留資格がないと国民健康保険へ加入することはできません。

雇用保険の加入についても日本人と同様です。1年以上雇用される見込みがあり、週20時間以上の所定労働時間があれば加入することができます。

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社会保険の加入義務がある会社について

事業主を含む従業員1人以上の会社

会社には、社会保険に加入する義務があります。社会保険の強制適用事業所にあたる場合は、事業主や従業員の意思に関わらず社会保険への加入が義務付けられているため、加入しないと法律で罰せられます。事業主を含む従業員1人以上の会社や、国や地方公共団体など法人の場合には、この加入義務が適用されます。

従業員が5人以上いる個人事業所

常時従業員が5人以上いる個人事業所にも、社会保険への加入義務があります。ただし、従業員の数や業種によっては対象外になることもあります。常時使用の従業員が5人未満であったり、5人以上の個人事業所でも理美容業や飲食業、農林漁業などの場合は対象とならないのです。

国民保険と国民年金を脱退する方法

国民保険は書類を持って役所に行く

それまで国民健康保険に加入していた人でも、勤務時間を増やしたり新たに就職が決まったりした場合、国民健康保険から脱退して社会保険に加入することになります。
ただし、就職先が社会保険の適用事業所でなかったり勤務時間が週20時間未満の場合は社会保険には加入できません。
その場合は、そのまま国民健康保険に加入することになります。

社会保険に加入すると同時に、国民健康保険の脱退の手続きをしましょう。その手続きは、各市区町村の役場で行います。その際には以下のものが必要になります。

◼ 加入した社会保険の保険証(扶養家族の分も含む)または社会保険の資格取得証明書
◼ 国民健康保険の保険証(切り替える人数分)
◼ 本人確認のできるもの(運転免許証など)

新しく社会保険に加入する際には、会社から受け取った被扶養者(異動)届に必要事項を記入します。それに年金手帳を添付して会社に提出すれば、会社側が手続きを行ってくれます。
手続きをしてもらった社会保険の保険証は、書類を会社に提出した約2週間後に手元に届きます。
社会保険の手続きを行った日付で資格取得証明書を発行してくれる会社もありますが、国民健康保険の脱退手続きのためにはこの証明書か新しく加入した社会保険の保険証が必要になります。

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国民年金は脱退の手続きはない

国民健康保険から社会保険に切り替える際は、国民健康保険の脱退が必要ですが、国民年金は脱退の必要がありません。
就職などで社会保険に切り替える際には、同時に厚生年金に加入することになりますが、自身が行う手続きはありません。
事業主が国民年金喪失の手続きをするので、市区町村への届出を出す必要はないのです。厚生年金への加入手続きをすると、国民年金は自動的に脱退することになります。

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社会保険の加入についての注意点

社会保険に未加入の場合は罰則がある

労働時間や職種などの条件を満たしている場合、会社は従業員を社会保険に加入させる義務があります。この義務を果たさず、社会保険に未加入の場合には罰則があるので気を付けましょう。
社会保険未加入だと、追徴金として該当する人の社会保険料を2年間に遡って追徴されることになります。また、罰則としては6ヵ月以下の懲役または50万円以下の罰金があります。

保険料が未納の場合は延滞金が発生する

社会保険の加入義務を果たしていても、保険料を未納の場合は罰則として延滞金が発生します。社会保険は、一般的に翌月徴収となっています。
4月分の保険料の納付は5月末日になり、5月分の給与から徴収するということです。そのため、延滞した場合は5月末に納付しなかった4月分に対して督促状が届きます。保険料の未納は法令違反となるため気を付けましょう。

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社会保険の加入義務は就業状況によって異なる

社会保険への加入義務があるかどうかは、勤務形態ではなく労働時間で決まります。正社員やパート、アルバイトといった働き方を問わず、週20時間以上の労働時間など条件を満たしていれば、社会保険に加入することができます。
また、個人事業主で従業員が数人しかいないといった場合でも、その会社が法人で加入義務が適用される業種であれば、社会保険には加入しなくてはならないのです。

保険や年金を切り替える際には、会社側と自身でそれぞれ手続きがあることも覚えておきましょう。

公認会計士・税理士 伊藤 温志

開業8年で600社ものクライアントを有するエクセライク会計事務所の代表税理士。
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