個人事業主の方や労働者の方は知っておこう。雇用保険の加入条件とは

働く時に気になるのが雇用保険。加入するのは正社員だけではなく、パートであっても雇用保険の加入条件にあてはまっていれば、事業者は加入することを義務付けられています。また、個人事業主は雇った場合どのように対応したらよいのかも知っておきましょう。

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雇用保険の加入条件

1週間の所定労働時間が20時間以上

雇用保険への加入条件として、雇われている労働者が1週間の所定労働時間が20時間以上であるということが必須になっています。例えば、1日5時間週4日勤務、1日4時間で週5日勤務など、1週間で20時間以上働いているかどうかが重要なポイントです。

事業者との契約上で規定の時間を超えていればよい

事業者と労働者の契約のなかで、労働時間の数字が週20時間以上であればよいので、実際の勤務において諸事情により20時間に満たない週が何度かあったりしても問題はありません。事業主との契約で、加入条件を満たしているかどうかが判断ポイントになります。

ただし、週20時間の労働時間が満たないことが当たり前の状態になっているなど、契約内容と実情とがあまりに違っている場合は加入適用になりません。

31日以上継続して雇用される見込みである

雇用保険に加入するためには、労働者の雇用契約期間は、31日以上でなければなりません。1ヶ月で辞めることが明らかな場合(短期パート等)以外はこの条件を満たすことになり、パートで働いている多くの方はこの条件を満たしているといえます。

雇用契約期間については、基本的には雇用契約書に記載されていますので確認してみましょう。

満たす条件

☑1.期間の定めがなく雇用される(正社員など)

☑2.期間の定めがあるが、31日以上(3ヶ月や6ヶ月契約など)

☑3.当初は期間の定めがあり31日未満だったが、途中から31日以上雇用されることになった

☑4.雇用の更新規定があり、31日で雇止めになっていない

雇用保険の適用事業所に雇用されている

事業主は、労働者を1人でも雇っていれば、会社や個人事業などの業種や規模に関係なく、原則として雇用保険の適用になります。この要件を満たさないケースは少ないですが、まれに労働者がいても加入していない所もあります。

労働者が雇用保険の加入するには、勤務先が雇用保険の適用事業所でなければなりません。念の為、勤務先が雇用保険に加入しているか調べておいた方がよいでしょう。

勤務先が雇用保険の適用事業所なのかどうかは、事業所の都道府県、事業者名、法人番号、所在のいずれか1つ分かっていれば、厚生労働省のサイトで簡単に確認することができます。

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改正により65歳以上でも加入できる

法改正により、平成29年1月1日から高年齢被保険者として65歳以上でも雇用保険に加入できるようになりました。加入条件は以下の通りです。

☑65歳以上の人が平成29年1月1日以降に新たに雇用される場合

☑65歳以上の人が平成28年12月末までに雇用されていて、引き続き平成29年1月1日以降も雇用されている場合

☑高年齢継続被保険者の人が平成29年1月1日以降も引き続き雇用されている場合

この上記の「65歳以上の人」で、1週間の所定労働時間が20時間以上、なおかつ31日以上の雇用見込みがある方が適用とされています。

事業所としては、要件を満たす形で65歳以上の方を新たに雇用する場合、対象者が入社した翌月10日までに「雇用保険被保険者資格取得届」を管轄のハローワークへ提出しなければなりません。

学生でないこと

雇用保険法では、原則として一般的に学生は学業が本分なので、昼間学生は労働者として扱われないため加入義務はありません。ただし例外として、次に該当する人で、雇用保険の加入要件を満たしている場合は、学生であっても雇用保険に加入することができます。

☑1.卒業見込証書を有する人で、卒業後も引き続き雇用される人

☑2.休学中の人

☑3.定時制課程に在学する人

この上記に該当する学生で、31日以上の雇用の見込みがあり、1週間の所定労働が20時間以上が要件になり雇用保険に加入できます。

個人事業主本人は雇用保険に加入できない

雇用される側である労働者の保険

個人事業主であっても人を雇ったら、雇用保険に加入することが義務付けされています。週の所定労働時間が20時間以上で、なおかつ雇用見込日数が31日以上の人を雇った場合には、雇用保険に加入する必要があり、労働者と事業主がともに保険料を負担しなければなりません。

手続きを怠ると罰則も

手続きとしては、10日以内に、労働基準監督署に届を提出し、その後、事業所を管轄するハローワークに雇用保険適用事業所設置届、雇用保険被保険者資格取得を提出します。

さらに、概算保険料申告書を保険関係の成立から50日以内に労働局または労働基準監督署に提出します。個人事業主であっても、雇用保険の届出を怠った場合は、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金に処せられます。

雇用する側の個人事業主本人は保険の対象外

雇用保険は、雇用される側が対象となる保険のため、対象者は雇用される労働者のみとなります。会社を設立した経営者である社長も労働をしていることに変わりはありませんが、決まりとして雇用保険への加入はできません。

これは大企業でも個人事業主でも変わらず、個人で事業を起こした時点で「発起人は事業主」となってしまうからです。倒産や廃業した場合でも、雇用保険に加入していないので、失業手当を受け取ることもできず、業務内でケガをした場合であっても労災保険に加入もできないため、労災保険給付を受け取ることもできません。

専従者の家族にも失業保険はない

労働者を雇っている場合、条件によっては個人事業主でも雇っている労働者に対して雇用保険の加入が義務付けられています。しかし、個人事業主の本人や家族は雇用保険が対象外になり加入できません。それは、事業主と同居の親族は、労働基準法上労働者とみなされないからです。

また一人親方は、雇用者ではなく事業主とみなされるため、雇用保険には加入することができません。雇用保険が対象としているのは企業に雇用されている労働者であって、個人事業主である一人親方も対象としていないためです。

雇用保険の加入は事業者の義務

加入手続の有無を確認できる

事業主が雇用保険の被保険者となる労働者を雇い入れたにもかかわらず、ハローワークに資格取得届を提出しなかった場合、労働者は雇用保険に加入できていない状態になっています。

知らずにそのまま働いていると、退職時にいざ雇用保険の手続きをしようとしても、実は雇用保険の加入手続きが行われていなければ失業手当すら受けられません。加入の有無は、念の為自分でも確認しておいたほうがよいでしょう。

雇用保険に入っているかどうか知るには、まず給料明細をみること。毎月受け取る給料明細の控除項目に、雇用保険の項目があるかどうかを確認し、その記載項目で給与より一定額保険料が天引きされているのが分かれば加入していることになります。

労働者は加入手続きが適正か確認できる

雇用保険加入手続きは会社が行うものですが、そのまま事業主に確認していなかったら、実は加入されていなかったなんてこともあるかもしれません。そんなトラブルを回避するため、労働者が自らの雇用保険加入手続きがされているかどうかを確認することができます。

加入手続きの確認方法

勤め先から近いハローワーク、もしくは自分の居住地の管轄になっているハローワークに行き、「雇用保険被保険者資格取得届出確認照会票」をもらいます。

そこに必要事項を書き、この書類と住所が確認できるもの(運転免許所、保険証など)を一緒に提出すると、「雇用保険被保険者資格取得届出確認照会の回答書」がもらえます。加入しているかどうか心配な方はこの方法で確認が可能です。

未加入の企業は違法の可能性がある

労働者を1人でも雇った事業主は、雇用保険に加入しなければならない義務があります。率直にいうと、労働者の雇用保険を未加入のままにしている企業は、違法の可能性があるということです。

もし、加入義務要件に該当しているにもかかわらずに未加入となっていた場合は、罰則を定めた条文があります。雇用保険法83条1項に、「6ヶ月以下の懲役又は30万円以下の罰金」というように決められていますので注意が必要です。

雇用保険加入にはメリットがある

雇用保険は、事業主が労働者の保険料を一部を負担することになります。労働者側は失業した時に失業手当が給付されるのでメリットが大きいかもしれません。しかし、企業側からすればメリットがない保険だと思ってしまうところが多いようです。

しかし、そんなことはありません。事業主でも、雇用保険の加入すれば、さまざまな給付金や助成金の支給が受けられる直接的なメリットがあります。その詳細は以下の通りです。

キャリア形成促進助成金

複数のコースがあり、そのコースは、単純にキャリアを形成するものから雇用形態を転換させるものまで、多岐にわたります。訓練時間や内容により助成額が変わりますが、約10~50万が助成されます。

トライアル雇用奨励金

さまざまな理由により、安定して職につくことが難しい労働者を、ハローワークなどを通じて一定期間以上の試用をした場合に支給される助成金となります。1ヶ月単位で最大3ヶ月分が、1回でまとめて支給。月額は最大4万円で就労日数により支給額が変動します。

特定求職者雇用開発助成金

事務処理をしてくれるパートやアルバイトなどの短時間労働者を雇いたいと思ったときに、高齢者や障害者、母子家庭の母など、一般的には就職困難であるとされる方を新規で雇用すると、助成金を受け取ることができます。

地方再生中小企業創業助成金

地方再生事業を目的として個人事業を開業し、雇用保険の対象となる方を1人以上雇用した場合に、開業資金や雇用に掛かった費用が助成されます。開業後6ヶ月以内に掛かった改行費用1/3となり、支給金額の上限は、300万円もしくは500万円となっています。

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従業員を雇用している個人事業主

労働者を雇う場合、雇用保険への加入は事業主の義務になっています。いわゆる強制保険なので、労働者の意思には関係なく、雇用したらハローワークに届け出なければなりません。加入すれば労働者の分もいくらか負担しなければならないのでメリットがないと思われがちです。

しかし、加入すればいろんな助成金がもらえるので損はしません。事業主は、そういった助成金があることを知らないため、メリットがないからと未加入が多いという現状です。加入していない場合は、罰則がとられ、6ヶ月以下の懲役、30万円以下の罰金が課されます。

そうならないために、労働者を雇用保険が適用となる規定時間以上働かせているのであれば、雇用保険の加入は必要不可欠です。人を雇えば、雇用保険は強制保険。入る、入らないを決めるのではなく、入らなくてはならないものなのです

条件を満たしていれば事業主が雇用保険加入手続きをする義務がある

事業主は、労働者が1人でもいたら雇用保険加入手続きをしなければならない義務があり、また労働者が所定労働時間が20時間以上、雇用見込日数が31日以上の場合は労働者を雇用保険に加入させる義務があります。

それを怠ると罰則がとられることも。事業主は必ず雇用保険の加入手続をし、なおかつ雇用保険の加入要件を知ったうえで労働者にも雇用保険に加入させるようにしましょう。

公認会計士・税理士 伊藤 温志

開業8年で600社ものクライアントを有するエクセライク会計事務所の代表税理士。
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