個人事業主が納める消費税。ルールと計算方法のポイントをおさえよう

個人事業主が納める消費税にはさまざまなルールがあります。条件によっては消費税が免税になるケースもあるので、ルールを知っておくことは節税対策にもなるので大切なことです。消費税の計算方法は、やり方のポイントをおさえて今後のために役立てましょう。

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個人事業主が消費税を納める時の基本ルール

最初の2年間は納税が免除される

起業後最初の2年間は消費税の納税が免除されます。この消費税免除については個人事業主でも法人でも受けられる特典ですが、指定の条件を満たしていないと消費税免除事業にはなりませんので注意しましょう。個人事業主を新規でスタートさせた場合、初年度は原則として免税事業者になるものの、場合によっては2年目から課税事業者になる可能性もあります。(ただし個人事業主の多くは2年目も免税事業者です。)

個人事業主の事業年度は、毎年1月1日〜12月31日と定められています。そのため年の途中である7月に事業をスタートさせた場合、初年度は7月〜12月ということになり免税対象は6ヶ月間になるということです。

消費税免除の特典を受けられる条件とは

☑ 1.資本金が1,000万円未満
☑ 2.(2期目も免除になるためには)特定期間の課税売上高が1,000万円以下
☑ 3.(2期目も免除になるためには)特定期間の給与等の支払額の合計が1,000万円以下

国外での取引は不課税になる

国外での取引は不課税になり消費税がかかりません。消費税は国内の取引に対して課されるものだからです。国外での取引とは、国外における事物を売買することですが、国外取引なのか、国内取引なのかを判断するには難しいケースが多々あります。

例えば、海外旅行に添乗員を派遣したとすると、添乗員が海外(国外)の現地のみでサービスを行う場合は「国外取引」になります。しかし添乗員が出国から帰国までサービスを行う場合は、添乗員を派遣した事務所が国内にある場合は「国内取引」になるのです。他にも判断が難しいケースがたくさんあるので、わからないことがあれば税理士などの専門家に相談しましょう。国外取引以外にも不課税になる取引はあります。

消費税が不課税になる取引とは

国外取引、給与、賃金、寄付金、祝い金、見舞金、補助金、無償の試供品、見本品の無料提供、保険金や救済金、株式の配当金、出資分配金、資産について破棄したり盗難や紛失があった場合など、不課税取引になるケースはいろいろあります。

事業者によって免税と課税に分かれる

個人事業主には、免税事業者と課税事業者に分かれます。違いが出る理由は売上の規模によるもので、基準期間の課税売上高が1,000万円を超えた場合は課税事業者になり、逆に課税売上高が1,000万円以下の場合は免税事業者になるということです。

基準期間とは2年前(前々年)の1月1日〜12月31日までのこと。ちなみに1年前(前年)の1月1日〜6月30日までを特定期間といい、同じく課税売上高が1,000万円以下の場合は免税事業者になります。

免税か課税かの判断は2年前の課税売上高

免税事業者になるか課税事業者になるかは2年前の課税売上高によって判断されます。2年前の課税売上高が1,000万円以下の個人事業主(あるいは法人)は消費税を納税する義務はありません。

消費税の納税をしなければいけないのかを判断する期間を基準期間といい、2年前の事業年度(前々年度)である1月1日〜12月31日までが審査対象になります。個人事業を始めたばかりの年は、2年前の売上自体が存在しないので、初年度及び2年目は原則として免税事業者になるということです。ただし特定期間の課税売上高によって2年目からは消費税がかかる場合があります。

特定期間での1,000万円超えは課税対象

2年前の課税売上高が1,000万円以下だったとしても、特定期間(前年の1月1日〜6月30日まで)の半年間の課税売上高が1,000万円を超えると、その年は課税事業者になります。

特定期間での課税売上高1,000万円を超えるかの判断は、課税売上高に代えて特定期間中に支払った給与等の金額によっても判断が可能です。特定期間中の給与等の金額が1,000万円を超えている場合でも課税事業者と判断されます。

簡易課税制度を選択することもできる

2年前の課税売上高が1,000万円を超えて課税事業者になった際には、原則課税制度(一般課税)だけでなく簡易課税制度を選択することもできます。原則課税とは預かった消費税から支払った消費税を差し引いて算出する一般的な計算方法。通常はこの方法で計算する個人事業者が多いです。

簡易課税制度とは、消費税の仕入控除税額をみなし仕入れ率を用いて計算して簡易的に算出する制度のこと。預かった消費税の計算は同じですが、支払った消費税の計算をせずに、代わりに預かった消費税に一定率であるみなし仕入れ率を掛けて算出した金額を、支払った消費税とみなすことで簡易的に消費税の納税額を計算します。

仕入控除税額について

消費税を計算する際に、売り上げなどで預かった消費税から差し引く税額のことです。

簡易課税制度の適用要件について

☑ 1.前々年(2年前)の課税売上高が5,000万円以下であること
☑ 2.前年のうちに「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出していること

消費税額によって納付の回数が増える

消費税額によっては、確定申告時の1回だけの納付でなく、確定申告までの間に何度か納付をする中間申告を行う必要があります。ただし納付の回数が増えたとしても、中間申告は年度末に納付する消費税の前払いです。結果として年度末に納付する消費税額が中間申告で払った金額より少ない場合は、差額を返してもらえます。

消費税の中間申告が必要な場合とは、前年の確定消費税額が48万円を超える場合です。48万円という金額は国税のみで地方税は含まず、前事業年度の消費税の確定申告の際の差額税額の欄が48万円をこえているかどうかで判断されます。

消費税の基本的な計算方法

課税売上高から消費税額を割り出す

消費税法によると、収入を得るすべての取引が売上高になると定められており、会計上の売上に加えて営業外収益項目、特別利益なども売上高に含まれます。さらに売上高は「課税取引、非課税、不課税売上高、免税売上高」の区分に分かれ、取引の内容によっては消費税が課されるものと課されないものに分かれるのです。

本来は非課税売上や免税売上も計算上で使用しますが、消費税の計算の基礎である課税売上高のみを使用して消費税額を割り出す方法があります。

以下に記載した順序に従うことで、預かった消費税額を計算することが可能です。

売上高に係る消費税を割り出す計算方法

☑ 1.まずは課税売上高を集計する。
☑ 2.「課税売上高×100/108=課税標準額(千円未満切捨て)」を計算する。
☑ 3.「課税標準額×6.3%=課税標準に対する消費税額」を計算する。

消費税率は8%の状態とします。6.3%という数字は、消費税率8%のうち6.3%が国税で1.7%が地方税と定められているため、国税の金額を算出するための数字です。ちなみに地方税は算出された国税の金額に17/63を乗じると算出できます。

課税仕入高から消費税額を割り出す

課税仕入高から消費税を割り出す計算方法は条件によりさまざまな方法があります。課税仕入れも課税売上と同じように非課税や不課税などの区分があり、課税仕入れの場合はさらに細かく分かれるため複雑ですが、全額控除の方法で計算する場合は細かく分けなくても大丈夫です。

全額控除の方法で計算する場合はシンプルな計算式で済みます。

以下に記載した順序に従うことで支払った消費税額を計算することが可能です。

仕入れに係る消費税を割り出す計算方法(全額控除の方法で計算する場合)

☑ 1.まずは課税仕入高を集計する。
☑ 2.「課税仕入高×6.3/108=控除対象仕入税額」を計算する。

課税売上高から課税仕入高を引く

課税売上高に係る消費税額と、仕入れにかかる消費税額を割り出したら、計算によって差し引きした税額である納付税額が算出できます。その計算とは、シンプルに課税売上高から課税仕入高を引く方法です。

納税額の計算方法

「課税売上高に係る(課税標準に対する)消費税額−控除対象仕入税額=納付税額」

専門用語を省いてもっとわかりやすくいった場合は以下のようになります。

「預かった消費税−支払った消費税=納付する消費税」

簡易課税の場合はみなし仕入率で算出する

簡易課税制度はより簡単な計算方法となっています。支払った消費税に代わり、預かった消費税×みなし仕入れ率を用いることが特徴です。

簡易課税の計算方法が簡単になった理由は、支払った消費税が出てこないから。預かった消費税(売上に係る消費税)を把握するだけで、納付しなければいけない消費税額を算出できます。

みなし仕入率は業種によって異なる

みなし仕入れ率は業種によって異なります。平成27年4月からみなし仕入れ率が改正されていますが、改定後の業種ごとのみなし仕入れ率については以下に記載している通りです。

☑ 1.第一種事業である卸売業は90%
(製造した商品を性質や形状をそのままの状態で他の事業者に販売する事業のこと。)
☑ 2.第二種事業である小売業は80%
(小売業とは、製造した商品を性質や形状をそのままの状態で消費者に販売する事業のこと。製造小売業は第三種事業にあたる。)
☑ 3.第三種事業である製造業等は70%
(製造業等とは、農業、林業、漁業、電気業、ガス業、水道業、熱供給業、採石業、砂利採取業、製造業、製造小売業、建設業のこと。加工賃等の料金を受け取り役務を提供する事業は第四種事業にあたる。)
☑ 4.第四種事業であるその他の事業は60%
(その他の事業とは、飲食店業などのその他の事業のこと。)
☑ 5.第五種事業であるサービス業は50%
(サービス業とは、金融業、保険業、運輸通信業、飲食店業を除くサービス業のこと。)
☑ 6.第六種事業である不動産業は40%

個人事業主が消費税を納める時のポイント

確定申告の期限を守る

個人事業主の消費税の確定申告と納税は、課税期間終了後3ヶ月以内なので、翌年の3月31日が期限です。期限内に納付できないと期限の翌日から納付した日まで延滞税がかかるので注意しましょう。

納付方法は、銀行振込、口座振替、e-Taxから選択可能。口座振替を選択すると納付期限が3月31日から4月20日前後まで引き延ばされます。ただし口座に残高がなく振替ができないと延滞税がかかってしまうので注意が必要です。

非課税の取引は国税局のHPでチェックする

消費税が非課税になる取引は以下のような例があります。詳細については国税局のHPでご確認ください。

☑ 1.土地の譲渡や貸付け
☑ 2.国債や株券などの有価証券、合名会社などの社員の持ち分、登録国際、金銭債権などの譲渡
☑ 3.銀行券、政府紙幣、小額紙幣、硬貨、約束手形、小切手など支払い手段の譲渡(ただし例外がある)
☑ 4.預貯金・貸付金の利子や保険料を対価とする薬務の提供など
☑ 5.日本郵便株式会社などが行っている郵便切手類の譲渡、印紙受け渡し場所での印紙の譲渡や地方公共団体などが行っている証紙の譲渡
☑ 6.商品券やプリペイドカードなどの譲渡
☑ 7.国等が行っている一定の事務に係る役務の提供
☑ 8.外国為替業務に係る役務の提供
☑ 9.社会保険医療の給付など(ただし例外がある)
☑ 10.介護保険サービスの提供(施設サービスなどがそれにあたり、例外もある)
☑ 11.社会福祉事業などによるサービスの提供
☑ 12.助産
☑ 13.火葬料及び埋葬料を対価とする役務の提供
☑ 14.一定の身体障害者用物品(義肢や盲人安全杖など)の譲渡や貸付け
☑ 15.学校教育関連
☑ 16.教科用になる図書の譲渡
☑ 17.住宅の貸付け(ただし例外がある)

詳細はこちら

消費税還付がある場合は届け出を忘れない

消費税還付がある場合は、消費税の課税事業者選択届出書を忘れないように提出しましょう。適用を受けようとしている年度初日の前日までに提出しないと課税事業者になることができません。その年度が設立した事業年度及び事業開始年だった場合はその年度の末日までに提出します。

「預かった消費税−支払った消費税=納付する消費税」で計算する際に、預かった消費税よりも支払った消費税のほうが多かったら、差し引きがマイナスになり、そのマイナス分が還付されるということです。

税率の変更を見据えた経営が必要

2019年10月に消費税率が10%に引き上げになるとともに、特定の品物の税率を8%のままにして他の品物より低く定める軽減税率制度も同時に導入されます。税率の変更は経営において大きな影響を与えるので、税率の変更を見据えて経営が必要です。

税率が変更になると、業種によってはレジの入れ替えが必要になったり、受注発注システムの改修・入替の検討、請求書等の様式の変更の検討、経理処理の変更など、さまざまな影響が出てきます。軽減税率対象品目を確認しておくことも大切です。

消費税額を算出して今後の事業経営に役立てよう

消費税額を算出するためには、間違いがないように税理士などの専門家に相談しながら行ったほうが安心です。しかしすべてを税理士等に任せるのではなく、自分で納税する消費税についてのルールを知り、納税額を算出できるようにしておいたほうが今後のためになります。

消費税額の計算方法については、やり方のポイントをおさえることができれば自分でも算出できます。ただし課税か免税かの判断など難しいことも多いので、わからないことは税理士等に相談しながら自分自身でも消費税額を算出できるようにして、今後の事業経営に役立てましょう。

公認会計士・税理士 伊藤 温志

開業8年で600社ものクライアントを有するエクセライク会計事務所の代表税理士。
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