個人事業主でも扶養に入れる。扶養に入るメリットや要件とは?

配偶者の扶養に入ると入らないとでは、税金や保険料の支払いにさまざまな違いがでてきます。
また、個人事業主であった場合でも扶養に入ることは可能です。そのためには、税制や健康保険法などそれぞれに要件があり、それらを満たさなければなりません。

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扶養に入るメリット

税制や社会保険


扶養に入ることによって得られるメリットは、第一に「所得税と保険料を支払わなくてよい」という点です。夫あるいは妻の扶養に入ることで、まず税制上では所得税が免除されます。次に社会保険は、配偶者がサラリーマンである場合「厚生年金・社会保険」へ加入していることが多いですが、その場合扶養に入った方の年金・社会保険料が免除されます。

児童手当や医療費助成

自治体の扱う児童手当や医療助成には「所得制限」があります。

☑622万円+扶養者の人数×38万円=所得制限額

上記の式によって算出される所得制限額を年収が超えてしまうと、手当は支給されなくなってしまいます。ここで注目することは「扶養者の人数」です。
例えば、子供が1人でサラリーマンの夫の扶養に入っているだけなら、扶養人数は1人なので上記の式では所得制限額が660万円となります。しかし、個人事業主の妻が夫の扶養に入れば夫の扶養人数が2人となるので、所得制限額が698万円となります。

知っておきたい個人事業主の扶養知識

扶養の親族範囲について


家族であれば扶養に入ることは可能です。しかし税制上、健康保険法上、共に「家族と定める範囲」が決まっています。

範囲に関しては所得税法、健康保険法でそれぞれ要件が異なります。混在されがちな部分なので、以下の章を参考にして、よく確認しておきましょう。

所得税法上の親族範囲

☑1親等=父母や子、配偶者
☑2親等=祖父母、孫とその配偶者、兄弟姉妹、兄弟姉妹の配偶者、配偶者の兄弟姉妹
☑3親等=ひ孫やその配偶者、納税者と配偶者の伯母、叔父及びその配偶者、甥、姪及びその配偶者
☑4親等=従兄弟姉妹、甥や姪の子ども
☑5親等=従兄弟姉妹の子ども
☑6親等=5親等の高祖及び子孫、従兄弟姉妹の孫など

上記のいずれかに該当すれば、所得税の免除が受けられます。

注意が必要なのは、配偶者の扶養に入るためには「籍を入れている必要がある」ことです。一緒に暮らしていても、内縁関係では扶養に入れないと覚えておきましょう。

健康保険上の親族範囲

☑1親等=父母や子、配偶者
☑2親等=祖父母、孫とその配偶者、兄弟姉妹、兄弟姉妹の配偶者、配偶者の兄弟姉妹
☑3親等=ひ孫やその配偶者、納税者と配偶者の伯母、叔父及びその配偶者、甥、姪及びその配偶者

内縁の配偶者の両親、同居している連れ子

上記のいずれかに該当すれば、社会保険料・厚生年金は免除されます。

配偶者控除や扶養を抜けるときの手続き

扶養から外れる場合は以下のような手続きをしましょう。

資格喪失証明書の受け取り

端的に言えば、「扶養から外れることを証明する書類」です。これを受け取らないと国民年金や国民健康保険に加入できないので、必ず扶養に入っていた配偶者の会社や健保組合から受け取っておいてください。

国民健康保険と年金の手続き

もし会社勤めで扶養から外れる場合は、会社の保険に入れますので必要ありません。個人事業主の場合は国民健康保険や年金へ加入しなければならないので、こちらも地域の市役所や区役所、町村役場で手続きをしておきましょう。

税金の扶養に入るための必要経費

基本的には配偶者の保険に入ることに費用はかかりませんが、配偶者との関係や同居していることを証明する「住民票」が必要となります。退職して扶養に入る場合は「退職証明書」や「資格喪失証明書」「雇用保険者離職表」などの書類が必要となります。

青色申告特別控除の利用

個人事業主の場合は、年度末の確定申告が必須となりますが、その際「青色申告書」を使用することをお勧めします。
税務署でもらえる青色申告書を使って確定申告すれば、「青色申告特別控除」が適用され年収から65万円分が所得控除の対象となります。所得控除の対象になるのは「住民税」、「所得税」、「国民健康保険」です。

誤解されがちですが、所得控除というのはその金額が丸ごと税額から引かれるということではなく、「課税される所得金額から控除分の金額が引かれる」ということです。詳しい説明は後述の「扶養要件」の章で行ないます。誰でも受けられるというわけではなく以下の要件を満たす必要があります。

☑不動産所得があったり、事業を営んでいること
☑複式簿記による記帳であること
☑賃貸対照表および損益計算書を確定申告書に添付して、控除を受ける金額を記載の上法廷申告期限内に提出すること。

上記のように会社勤めの方は受けられず、個人事業主向けであるといえます。青色申告は、複式簿記の知識が必要だったりと一般的な白色申告申告書よりも記帳が複雑ですが、記入の仕方を説明したWEBサイトがあったり、専用ソフトもあるので参考にしてみましょう。

個人事業主の扶養要件について

所得税や住民税の扶養要件


扶養に入るためには年収や、そのほかにも要件があります。各項目毎の扶養要件の条件をまとめましたので参考にして下さい。まずは「所得税と住民税」からです。親族の扶養範囲は前章でご説明しましたが、ここからは「所得の扶養範囲の説明」となります。

所得税の扶養要件は、まず年収が「103万円未満であること」が条件です。そしてこの場合の103万円とは「給与所得控除」を含んだ金額であることをご理解ください。

所得税額は以下のような計算で算出します。

☑年収-給与所得控除-各種控除=所得
☑所得×税率=所得税額

税制上では所得税は年収、つまり所得が38万円を超えると課せられます。しかし、正規雇用でも非正規雇用でも会社勤めの場合は「給与所得控除」が適用され、65万円分が所得から控除されます。
つまり、年収-65万円(許与所得控除)が38万円を超えなければ扶養が適用されるということです。

ただし、給与所得控除はあくまでも会社勤めの場合のみ適用されます。なので、個人事業主の場合は年収が38万円を超えると扶養から外れることになります。

基本的には個人事業主の税額は以下のような計算となります。

☑年収-経費-各種控除=所得
☑所得×税率=所得税額

会社勤めの方との違いは、「経費」が控除されるような仕組みです。個人事業主で収入が増えてきたら、前章にある「青色確定申告」を利用したり、業務に使った備品などの領収書を保管し「経費」を増やすことで申請する所得額を減らしましょう。

住民税も同様ですが、税率や扶養に入るための所得の上限が自治体によって違い、さらに取引手数料に当たる「均等割」も加算されますので、住んでいる市役所や区役所に確認しておきましょう。

健康保険の扶養要件

国民健康保険、共済組合などさまざまな種類の健康保険があり、それによって扶養要件は異なります。共通しているのは「年収が130万円以下であること」です。

注意が必要なのは、税金と違い給与所得控除や青色申告特別控除などの「控除」が無い場合が多く、純粋に1年の収入で判断されます。さらに、収入がどうあれ個人事業主というだけで扶養と認められないケースもあるので、こちらもよく確認しておきましょう。

国民年金の扶養要件

生命保険と同じく、「年収が130万円以下」であることが要件です。ただし、こちらは年収から「経費」を差し引くことができますので、個人事業主の方は利用できます。

夫の税金や家族手当による扶養要件

妻の年収が38万円以下で扶養に入っている場合、夫は「配偶者控除」を受けることができます。具体的には、所得から38万円分控除され、その分税金が安くなります。
家族手当は会社から支給されるものなので、企業によって要件も異なりますが「38万円」が所得の上限となっている場合が多いようです。

扶養のポイントを押さえてさらなる収入アップを

扶養に入り、なおかつ維持するためには「年収を抑える」必要があることをこれまでご説明してきました。しかし、個人事業主だった場合、せっかく軌道に乗ってきた事業を減速させるのももったいない話です。

扶養の要件を把握した上で、青色申告などの「申告する所得を減らす」ような処置を行えば、収入を減らさず税金だけを抑えることも可能です。多少手間はかかりますが、家族がより豊かな生活を送れるように、ぜひ実践してみてください。

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