給与支払報告書の提出範囲注意事項。関連する住民税を含めての方法

給与支払報告書とは地方税法に基づく書類のことです。ただ意外と、給与支払報告書の提出義務の範囲や未提出の際の罰則は知られていないことが多いのです。給与支払報告書の作成をする注意事項や関連する住民税も含めての対応方法があります。

税理士の無料相談実施中!
当サイトの記事をお読み頂いても問題が解決しない場合には、税理士にご相談頂いたほうがよい可能性があります。
ご相談は無料ですので、お気軽に エクセライク会計事務所 までお問い合わせください。
✆ 0120-017-591 メールでのご相談

 

給与支払報告書提出範囲の注意事項

退職者の給与支払報告書30万円以下必要なし


給与支払報告書を提出する年の1月1日時点で在職していない従業員であっても、「前年中に給与の支払い」があった人については、原則報告しなければいけません。ただ退職者に関する特例の手続きとして、前年中に退職した人のうち、「前年中の給与等の支払金額が30万円以内の人」は給与報告書(個人別明細書)の提出義務が免除されます。

たとえば入社・出勤はしたが、住所などを確認する前にすぐに退職してしまった人がいる場合には、この特例を活用することができるでしょう。飲食店やスーパー等でアルバイトの人を多く雇っている事業所では、上記のようなケースが発生する確率が高いので、書類作成の担当者は、給与支払報告書の作成をボトルネックとすることなく手続きを進めることができます。
しかし「地方税第317条の6第1項および第3項」において、給与等の支払金額が30万円以下の退職者についても、「公平・適正課税」の観点から給与報告書の提出に協力を求める市区町村はあります。

給与の総支給額が30万円超える人は必要

アルバイトやパート、正社員など雇用形態に関わらず、給与報告書を提出する年の1月1日現在で退職している従業員を含め、前年の給与等の支払いが30万円を超える人は全員が給与報告書の提出義務があります。もし提出をおこなわなかった際には罰則が設けられています。
給与支払報告書は翌年の住民税や国民健康保険料の算出に使われるための重要なものです。提出を怠ると、住民税等の納付ができずに放棄や延滞が発生することで、事業所や従業員にとってデメリットがありますので必ずおこないます。

年末調整をしたもの

年末調整では、配偶者の所得、生命保険料、本人が直接支払った社会保険料等などを精査加味し、個人の正しい「年全額」を求めるものです。給与支払報告書を作成する際に、年末調整のための「給与所得控除後の給与等の金額」や年末調整後に確定した「源泉所得税及び復興特別所得税の合計額」を記入。

しかし給与の収入金額が2,000万円を超える場合は「年末調整は不要」、または事業所によっては年末調整をしないところもあるかもしれませんので、給与支払報告書を作成する際には該当箇所を空欄のままに提出します。給与支払報告書は収入金額が2,000万円を超えた場合でも作成します。

給与所得者の源泉徴収票について

各市区町村に提出義務がある「給与支払報告書」は、源泉徴収票と同様に作成します。源泉徴収票はその年に給与を支払った従業員(人)全員に発行しなければいけませんので、給与所得者には源泉徴収票、そして給与支払報告書は従業員の各住所地の市区町村宛に送付するため、「この市区町村に何名分を提出します」という総括表と個人別明細書を併せて提出。

給与支払報告書と統括表について

給与支払報告書を提出する必要性

給与支払報告書とは、「地方税」に基づく書類のことです。各従業員の1月1日の住民票上の各市区町村に、「前年の給与所得金額」、その他必要な事項を届け出る手続きです。毎年1月1日時点で給与の支払をしていて、所得税の源泉徴収をしなければならない事業主は、給与支払報告書を1月31日までに各従業員の1月1日時点で居住する区市町村の「住民税担当課」に提出することになります。その際に提出するのが、以下の3つです。

☑1.給与支払報告書個人別明細書
☑2. 給与支払報告書総括表
☑3. 普通徴収切替理由書兼仕切書

ちなみに3の「普通徴収切替理由書兼仕切書」は普通徴収の対象となる従業員がいる場合のみ、提出することになっています。対象となる従業員がいない場合は提出しません。また給与支払報告書個人別明細書と給与支払報告書総括表にも普通徴収に関する記入部分があります。

住民税の特別徴収義務と普通徴収との違い

前述したように、給与支払報告書は住民税の算出に使用します。ここで住民税の納付方法には、「特別徴収」と「普通徴収」の2種類があります。まず特別徴収とは簡単にいうと会社を対象とした制度で、事業主が従業員の税金を給与から差し引き、従業員に代わって納税するというものです。

ちなみに事業所は「特別徴収義務者」となっています。特別徴収義務者である事業所は「必ず従業員から税金を徴収する義務」があり、従業員個人で税金の納付を任せたり、事業所の仕事が増えるから、担当者がいないからと納付を個人に任せたと思っても、特別徴収は法律で決められています。

一方で、普通徴収は特別徴収以外の人の制度で、納税通知書が区市町村から送られてくるので、年4回に分けて納税するというものです。

給与支払報告書の電子申告について

平成29年1月から給与支払報告書、および公的年金等の支払書や源泉徴収票を電子申告(eLTAX)を利用して、一括して作成・提出することが可能となりました。市区町村に提出する給与や、公的年金等の支払報告書の電子申告用のデータを作成する際、税務署に提出が必要な源泉徴収票用のデータも同時に作成することができます。

この電子申告の一元化として、給与支払報告書と源泉徴収のデータをeLTAXに一括して送信することで給与支払報告書は各市区町村に、源泉徴収票はeLTAX経由で事業所の管轄税務署に提出されます。eLTAXはインターネットによる地方税関するポータブルサイトです。

詳細はこちら

給与支払報告書未提出や特別徴収しない場合罰則

給与支払報告書の未提出や特別徴収しない場合は罰則があります。事業所(会社)は市区町村に給与支払報告書を提出しなければならないことは、地方税法第317条の第6項の「給与支払報告書等の提出義務」によって義務付けられています。
そのため、提出義務を怠ると地方税法第317条の第7項の「給与支払報告書等の提出義務違反に関する罪」により、義務を怠った担当者だけではなく法人そのものも「1年以下の懲役または50万円以下の罰金」が科せられます。

給与支払報告書は地方税に基づくものなので、たとえば起業をした際に従業員を雇用すると所得税の源泉徴収だけではなく、住民税の手続きをします。住民税に関する給与支払報告書と総括表の提出については、たとえ個人事業主であったとしても地方税違反となるので留意。

給与回数と減らせる住民税の納期の特例

従業員の給料から特別徴収して支払う住民税は、事務担当者にとって毎月のことなので負担が大きくなってきます。そこで事務処理作業を簡素化するために「納期特例」という制度があります。この制度によって、毎月の発生する給付回数を2回に減らすことができます。

納期特例の制度とは、「本来毎月納めなければならない住民税の納付を、6月と12月にまとめ6カ分納付する」というもの。具体的には、6月から11月の住民税を12月10日までに納付、12月から翌年5月までの住民税を6月10日までに納付するという流れになります。納期特例を活用するために必要な3つの条件がありますので、それぞれの条件は次のようになります。

☑1. 常時使用する従業員が10名未満(この人数に社長や役員も含まれますが、短期のアルバイトなどについては含める必要はない)
☑2. 承認申請書の提出によって、適用を受ける(市区町村に対して特別徴収額の納期特権に関する申請書の承認を受ける)
☑3. 承認が出た後の納付方法(納期特権の承認を受けた場合、翌月分からまとめて納付が可能)

基本、この納期特権の制度は中小企業向けに設計されたもので活用する際に注意点もあります。まずは年2回の納付となるため、給与回数は減らせますが、1回あたりの納付額が増えます。また退職者がいる場合は納付する住民税額が変更となりますので留意。この制度は事務手続きの簡素化を図れるとともに、未納や納付忘れといった事務処理のミスも防ぐことができます。

給与支払報告書の知識を付けて仕事に活かそう

年末調整に伴い源泉徴収票や給与支払報告書の作成など、事務担当者は年末年始にかけて時間に追われます。しかし給与支払報告書の作成知識を付けておけば、作業時間も作業工程も大幅な簡素化につながります。作成方法については、国税庁や各市区町村のサイトに記載もありますので、それらを参考にもできます。

給与支払報告書は給与を支払う事業所にとって、避けては通れない手続き。この作業をおこなわないとさまざまな面で不利益をこうむることとなります。給与等の支払額が30万以下の場合の作成免除、中小企業向けの住民税支払の特権などを活用して、賢く作業を進めましょう。

公認会計士・税理士 伊藤 温志

開業8年で600社ものクライアントを有するエクセライク会計事務所の代表税理士。
顧問料は相場の半分以下と業界最安値だが、それは自社開発のExeLikeシリーズにより、
顧客は簿記や会計の知識を一切要せず、Excelだけで対応でき大いに支持を集めている。